ごっつだめな感じ
先日、またやらかしてしまった。
私は生来、おっちょこちょいである。前も実験で持ち前のおっちょこちょいを発揮して、数週間にかけて丁寧に培養した細胞をかっちり小分けにして全部殺すという事件を起こしたことがある。
それに匹敵することをやってのけてしまった。
1か月ほどかけて、指にマメまで作ってこさえた研磨した金属板。その上に培養させた細胞をまいて、寝かせること一晩。それをさらに薬液であらって、遠心分離機にかけて、また別の薬液であらって、遠心分離機にかけて・・・。遠心分離機にかけないと、薬液を捨てるときに細胞も一緒に流れてしまうのだ。
そうした様々な行程を乗り越えて、固定液に浸すこと15分。
で、できた!!
あとはこれを遠心分離機にかけて、固定液を保存液に取り換えるだけ!そうだそうだ、固定液は危険な薬物だから、他の薬液と違って、シンクに流してはいけないのだ。固定液を捨てるとき専用のタンクがあって、それにいれなきゃいけなかったのだ。固定液は危険だから専用のタンクに、固定液は危険だから専用のタンクに・・・。
よし!専用のタンクに捨てたぞ!
・・・!
え・・・・。
遠心分離機かけるの忘れた。
H先生にも「固定液捨てる前に遠心分離機かけるのよ」と言われていたのに。かくして私は丹精込めてこさえた試料を!細胞たちを!すべて捨ててしまったのであった。
すぐさまH先生にも報告。すると、先生は・・・。
「なんで?」
ごもっともです、先生。ただ、先生は優しく「一番凹んでいるのはあなたでしょうから、これを練習として、また再実験がんばりなさい」と励ましてくださった。
私はただただ、自分のバカさ加減に絶望していた。
本当に、俺の・・・バカ。
そして、今日、また別の実験中にH先生より「この間の実験のことだけど」と話しかけられた。私は「ああ、あの、僕が細胞を捨てちゃったやつですか?」ともごもごと返した。
「旦那にあのこと話したんだけど・・・」
「ごっつのコントみたいだねって言ってたわ!」
調べてみると、若かりし日のダウンタウンや今田耕司がやっていたコント番組「ごっつええ感じ」の中のクッキング番組のコントで、ダウンタウン松本が「キャシィ塚本」なる人物に扮してはちゃめちゃやるコントのことのようだった。H先生から「是非見てみて!」と勧められ、さらに「これをネタにブログ記事にあげてもいいわよ。即日にもしネタにしてたら反省してないなってなるけど、もう数日反省したわけだし」と、あの失敗の「禊」の機会を与えて頂いた。
そのためにはごっつを見ないと・・・。
「夕食でグッ!のお時間で〜す」
「今日の講師は四万十川料理学園のキャシィ塚本先生です」
「今日のお料理はね、ポルトガル料理なの」
「卵をね、素早く割ってほしいの」
「お塩を少々」
「塩コショウを少々」
「それでね、素早く混ぜて欲しいの」
「出来るだけ混ぜて、混ぜて混ぜて混ぜたところを・・・」
「はい、どーん!!」
「・・・!!!」
なるほど、これがキャシィ塚本か。要するに・・・
「実験でグッ!のお時間です」
「今日の大学院生はサディ塚本先生です」
「薬液を混ぜて、分離して、混ぜて分離して、混ぜたところを・・・」
「はい、どーん!!!」
「・・・!!!」
ということなのだろう。このコントを見て、少し救われたような気持ちになった。何がどう救われたのかはわからないし、自分のお馬鹿さん具合ややってしまったことは変わらないのだが、ちょっと気持ちが軽くなった。
「如月は失敗するけれども、同じ失敗は二度おこさないから!きっと次は大丈夫よ!」
次は「はい、どーん!!!」しないように気をつけたい。
それでは、ばいちゃ☆