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2017.05.31 Wednesday

どうして雪大1補綴にしたのか?(3/3):雪大1補綴でよかった10のこと

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     この記事は、下記リンクの続きだ。

    【関連記事】どうして雪大1補綴にしたのか?(1/3)

    【関連記事】どうして雪大1補綴にしたのか?(2/3)

     「どうして雪大1補綴にしたのか?」というテーマで、つらつらと書いて来たが、もう「どうして雪大1補綴にしたのか?」については全部書いてしまった。ということで、ここでは、実際に研修1年間を雪大1補綴ですごしてみてどうだったかを書いて行きたい。

     

     

     

    3.雪大1補綴でよかった10のこと

     

     

     

    (1)義歯の症例がしっかりと配当される!

     雪大病院は特定機能病院といって紹介状がないと基本的には受け付けられない仕組みになっている。要するに、開業医やほかの病院では十分に解決もしくは治癒しなかった、いわゆる難しい症例が集まる傾向にある。よって或る程度、研修医に配当される患者の数と症例は限定されてしまう。そのなかで、とりわけ補綴症例はその傾向が強いようで、義歯などの症例は特にそのようだ。義歯は時間がかかるうえに、しっかりとしたバックアップとフォローアップが必要となるために1補綴にせよ2補綴にせよ、他の医局の研修医には配当し辛い実情があるようだ。

     私は1補綴の研修医として、全部床義歯も部分床義歯もしっかり配当された。それだけではなく、クラウン・ブリッジ症例も配当された。もちろん、C処やエンドなどの保存症例も配当してもらった。雪大1補綴で単独型の研修だったが、研修1年間を振り返ってみると、きちんと補綴も保存も全体的にしっかりと手がけることができたと確信をもって言える。

     

    (2)師匠をはじめとする先生方からじっくり指導してもらえる!

     1補綴で補綴症例を配当された暁には、しっかりと1補綴で手厚くバックアップしてもらえる。私も同期も概形印象から、筋形成、精密印象、咬合床作製、咬合採得、蝋義歯試適、そして義歯のセットまで、全行程をしっかりと指導してもらえた。部分床義歯のときはいろんな先生が設計の相談に乗ってくれた。

     1補綴は師弟制度があって、1人の師匠に1年間(複合型なら半年間)付くのだが、私はとにかく補綴で困ったときは師匠に相談していた。また、歴代の弟子たちも医局に残っていて、私は兄弟子や姉弟子にも大変お世話になった。1補綴の人たちは優しくて面倒見の良い先生方ばかりなので、とても心強い。

     

    (3)1保存の先生たちとも仲良くなれる!

     ちなみに、保存症例はいつも1保存の先生に相談していた。1補綴と1保存はとても仲が良い。1補綴で飲み会をするときは、いつも1保存の先生もお招きする。研修医のときは、1保存の先生と個人的に飲みにいったりしたこともあったなぁ。

     新患当番のときも、1補綴と1保存で一緒にやる。私が研修医として新患当番にあたったとき、1保存の先生から「1補綴なら、普段から見知っているし、安心して配当できるね」と言ってもらったことがある。研修終盤では、1保存から補綴依頼で症例をもらうなんてことも。気軽に保存について相談できる先生がいるというのは大変心強かった。

     

    (4)勉強会や講演会の情報がはいってくる!

     1補綴はアツイ!先生方も勉強熱心だ。「今度、こんな講演会があるから、是非行ってきな!」といろんな先生から頻繁に情報をいただく。後述する項目にもちょっと被っちゃうのだけれど、1補綴の同門の先生方もアツイ人が多く、そういった大学の外にいる先生からもいろんな講演会や講習会のお知らせが入ってくる。

     また、私は教室の先生から誘っていただき、NOPという部分床義歯のスタディグループにも入ることが出来た・・・なんてこともあった。

    【関連記事】天空への部分床義歯学(NOPに参加して)

     こういうつながりは本当に得ようと思ってもなかなか得られないものだと思うし、こういった機会に恵まれて、いろんな場面で様々な話を聴くことができたことは、本当によかったと思う。

     

    (5)補綴的な診断能力を培うチャンスをゲット!

     先輩の磯兵衛さんが言っていた「補綴は奥が深い」というのは本当にその通りで、特に部分床義歯の設計に関しては本当に奥が深い。以前、医局説明会で学生さんが補綴的な診断能力は「国試に受かった段階である程度培われているのでは?」という質問をしていたのを聴いたことがある。「ケネディーとかアイヒナーとか・・・」という学生に、先生は「それは分類であって診断ではないよ」と言っていた。

     私が思うに、補綴的な診断能力というのは、患者がどのような口腔内の状態で、どのような咬合状態であるかを分析したうえで、どのような設計をするのかを考えることができるかどうかだと思う。症例ごとで色々と状況や状態が違うので、ある程度パターン化されたものを学びながら、実際に症例を手掛けていかないと、診断能力は身について行かないと思う。

     ちなみに基本的に、国試には設計の話しはまったく出題されない。なぜなら、大学ごとで理念や考え方が違っていて、設計も三者三様で統一できないからである。よって国試の合否は診断能力のあるなしの判断基準には全くなり得ないわけである。しかも学部教育では限界があるのも事実だ。

     補綴の設計については、大学ごとでもそうなのだから、大学の外に出たらもっと色々あるわけで。そんな有象無象がひしめきあう世界の中で、私は何かしらの信頼できる依り代が欲しいと思い、雪大1補綴を選択した。大学の補綴なのだから、エビデンスに基づいた理論の上に成り立っているわけで、物事の価値基準として、それが本当に正しいのかどうか?を判断できるようになるための材料と機会はこの医局にいれば十分に与えられるし、巡り合えると私は思う。

     

    (6)大学の外に出ても勉強熱心な同門の先生がいる!

     前述の項目と少し被るが、大学内外のどの講演会や勉強会に出席しても、必ずと言っていいほど雪大1補綴の同門の先生がいる。しかも、ただ居るというだけではなく、結構中核のメンバーだったりもする。医局の紹介ではない勉強会でも「あ、××先生だ!」ということが頻繁にある。

     しかも、毎年、夏に同門会の集まりがあるが、そこで開催される学術講演会もバラエティー豊かな先生が講演される。そして、そこでの質疑応答が白熱する。同門の先生がどういった質問をされるのかを聴くだけで非常に勉強になる。勉強家の先生が大学内外に数多く居るというのは、本当に心強い。

     

    (7)技工士さんたちと仲良くなれる!

     補綴といったら、切っても切り離せないのが技工士さんとの関係だ。私も研修時代、雪大の技工部の方々には非常にお世話になった。もちろんお世話になっているのは、現在進行形だけど。しかし、技工士さんと話していると、本当に勉強になることばかりだ。

    【関連記事】雪大病院の技工部研修で、歯科と歯科技工士の将来を考える!

     コンプリートデンチャーの重合を自分の手でやりたいとお願いしたときも、技工部の徳川さんにとても助けていただいた。一時期、毎晩のように技工部に通っていた時期があったなぁ。懐かしい。

    【関連記事】はじめてのコンプリートデンチャー 完結篇

     また、外注先の技工所の見学に行く機会もあった。

    【関連記事】今週の歯科研修医如月!(2/6〜2/9)

     やはり「歯科は補綴」という言葉があるように、それを実感する機会に数多く恵まれた。テクニシャンサイドの話しは非常に参考になった。将来、開業医になるとしても、技工士さんとの連携は非常に重要だが、技工士サイドのこともわかっていないと良好な関係は築けないということで、経験的に感じることができたことは、本当に貴重だったと思う。

     

    (8)補綴に関して、批判的に見ることができるようになる!

     私がこれを感じたのは、研修最後の症例発表会のときのことである。

    【関連記事】仁義なき症例発表

     批判的というと感じが悪いかもしれないが、それは科学者としては必要な視点だ。私も自覚はなかったのだが、他科の補綴症例の発表を聴いていて、気が付くと質疑応答で手を挙げていた。1補綴の中に居て、知らず知らずのうちに、補綴的な診断能力に必要な視点が多少なりとも身についていたようだ。「顎位は?」「咬合採得は?」「どうしてそういう設計にしたの?」と疑問がするすると出てきたときに、「あ、俺は1補綴で力をつけることができたんだな」とちょっと嬉しくなったりした。1年間、在局していただけで、こんなにも補綴的に考えるようになっていたのかと驚きもした。

     症例発表会では1補綴の研修医がガンガン質問を浴びせるもんだから、他科の研修同期たちからは疎まれると思いきや、結構、補綴に関しての相談を受けることも多かった。同期に頼られるのは悪い気がしない。また、同期達の「入れ歯、全然わからないんだよね」という言葉を聴くと、「じゃあ、俺は少しはわかるようになったのかな」という気がしてきたり、してこなかったりして、なにかと1補綴でよかったなぁ、と思うことが多かったように思う。

     

    (9)美人が多い!

     磯兵衛さんとか!

     

    (10)バイト先で義歯の症例をみても物怖じしない!

     これは研修が終わってからのことだけど、研修が終わって、一般開業医に就職したりバイトで出るようになって感じたことをちょっとだけ書いて行きたいと思う。やっぱり、バイト先はエンドやC処、そして義歯が多い。

     前述の項目と少し重なるが、大学院に進学してからも同期たちと飲むと、よく「義歯わからない」という言葉を耳にする。「何をしていいのかわからない」と不安そうな同期たちを見ると、私なんかはまだまだ卒後2年目で実力もそう同期と変わらないはずなのだが、ちょっと得意になったりもする。まだまだバシっと治せるようになるのは難しいけれども、やっぱり1補綴で義歯に関しては触り慣れているので、バイト先で補綴を任されても「やってみるか!」と腹をくくって取り掛かることができる。そして「師匠はどうやっていたかな」「あの先生はどう言っていたかな」と思い出しながら、習った通りに、見た通りにひとつひとつ分析して可能性を探っていく。

     こういう義歯の症例を見ても物怖じせずに、ひとつひとつを分析しながら順序よく解決しようとすることができるのは、やっぱり1補綴に居たからだったんじゃないかと思う。

     

     

     

     ということで、雪大1補綴でよかった10のことはこれにて終了。ただ、これは医局で公式に出しているものではなく、あくまで自分自身の考え方に基づいた、本当に個人的な意見のひとつにすぎないということは書いておきたい。とは言え、多少なりとも参考にしてもらって、さらには「1補綴に入局しよう!」という人が一人でも現れてくれたら・・・いいなぁ!

     

     それでは、ばいちゃ☆

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