2016.01.31 Sunday
コクシ 第一話 決起集会編
今日、ついに第109回歯科医師国家試験が終わった。父の言葉を借りれば「人生の集大成」ともいえる試験。長い長い戦いであった。ブログ更新再開として、今日から何回かにわけて「コクシ」と題し、私が歯科医師国家試験を受けるまで、そして実際に受けてみての体験記をつらつらと書いていきたいと思う。
コクシ 第一話
*目次*
・国試三日前!決起集会!
・鬼教官の顔にも笑顔!?
・まさかのおみくじ不発事件
■国試三日前!決起集会!
国試まで残り三日となったある日、私達は「決起集会」ということで講義室に集められた。「あと数日で国試かぁ・・・」とつぶやく顔はどれも生気がなかった。しばらくして時間になると、先生たちがたくさん講義室にやってきた。
いつもは、こと成績の話になると厳しい表情を見せる先生たちが、この日は珍しく笑顔だった。
まず学部長がマイクをとった。「今年も修羅大は模試で良い位置につけています!」。先生方の私達への激励が始まった。「ただ、今年は若干、下位層が伸び悩んでいます。でも、安心して下さい。どこの大学の先生たちも同じことを言っています。ということは、下位層で殴り合いをすれば勝てる可能性は十分にあるということです!」「みなさん、今年受かった方がいいですよ。下の代には決して混ざらないでください。下の代は賢いです。だから皆で現役合格してしまいましょう!」私は学部長の話を聞いて、安心したような、なんというか・・・。要するに、今年の国試を受ける世代は全体的に出来が悪いから諦めないで!ということか。そういう励まし方もあるんだなぁ、と思った。まぁ、ゆとり直撃世代だからね。それが、反映しているのかも。
■鬼教官の顔にも笑顔!?
続いて、副担任の先生がマイクをとった。「今日はちょっとテイスト違うな、と思ったでしょ?」と言った先生の言葉に笑いが起きた。というのも、この副担任の先生は病院実習で厳しいことが有名だったからだ。いわゆる鬼教官といってしまっていいのかしら。そんな厳しい先生がほほ笑んで私達へエールを送ってくれたから、講義室は笑いで包まれた。
だが、それが一層、国試というイベントの重大性というか、非日常性というか、そういった「ただごとじゃねぇな」といった雰囲気を感じさせた。
副担任の先生は自身が国試を受けたときの体験談を語ってくれた。
「怪しい情報が回ります。私の時は『川崎病が出る!』という噂が回りました。本番は一問も出ませんでした!」
「そういう怪しい情報に惑わされずに、平常心で戦ってきてください!君たちなら大丈夫!がんばれ!」
力強い応援に私達はすごく励まされた。
■まさかのおみくじ不発事件!
それから何人もの先生が色々とエールを送ってくださった。なるほど、これが「決起集会」。確かに、決起する。いずれの先生方も修羅大の大先輩。こうして応援して下さる先輩方の言葉を聞きながら、修羅大の愛を感じ、いかにこれまで修羅大という母校に支えられてきたかということをかみしめていた。きっと皆もそうだったことと思う。
こうして士気が高まりに高まったとき、最後にもう一人の副担任の先生がマイクをとった。(副担任は複数人いらっしゃる。)
その先生は毎年、国試応援として家族で太宰府をお参りして、おみくじを引いてきてくれるのだという。「毎年、大吉を出しています」という言葉に、教室の熱気も高まった。
先生「今年も家族でお参りしてきました。」
学生「おーっ!」
先生「例年より一週間早くお参りしたからかな?ちょっと大吉の割合が少なかったのかも・・・。」
学生「おー・・・?」
先生「家族全員で引いたんですけど、大吉が出なくて・・・ただ、僕がひいたおみくじはまだ明けていないんです。」
学生「おーっ!」
先生「今日、持ってきています!どうしますか?開けますか!?大吉という保証はありません!」
学生「おーっ!?」
もし大吉だったら、もう士気は上がりまくり!これ以上のものはない「決起集会」となることだろう。ただ、大吉でなかったときのことを考えるとこわい。講義室は一瞬、静まり返った。
すると、学部長がひとこと「・・・あけようや」。
先生はびりっとおみくじを開けた。皆の注目がその一点に集中する!「あ!大吉でした!」・・・となるはずであったが。おみくじをあけた先生は「うーん」とうなり始めた。
先生「あ、学問の欄だけ読みましょうか!」
学部長「え?そんなに悪いの?」
先生「いや、そんなに悪くないです!」
学部長「・・・あー・・・。」
先生「そう、悪くない!悪くないよ!」
学部長「これは国試終わってから言うということで・・・。」
先生「慰労会の楽しみにしましょう。」
・・・私達は決起集会で開けられたおみくじの結果を、まだ知らないでいる。ただひとつ言えるのは、大吉ではなかったようだ・・・ということだけだ。
かくして、決起集会は終わった。
第二話へつづく!
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コクシ 第一話
*目次*
・国試三日前!決起集会!
・鬼教官の顔にも笑顔!?
・まさかのおみくじ不発事件
■国試三日前!決起集会!
国試まで残り三日となったある日、私達は「決起集会」ということで講義室に集められた。「あと数日で国試かぁ・・・」とつぶやく顔はどれも生気がなかった。しばらくして時間になると、先生たちがたくさん講義室にやってきた。
いつもは、こと成績の話になると厳しい表情を見せる先生たちが、この日は珍しく笑顔だった。
まず学部長がマイクをとった。「今年も修羅大は模試で良い位置につけています!」。先生方の私達への激励が始まった。「ただ、今年は若干、下位層が伸び悩んでいます。でも、安心して下さい。どこの大学の先生たちも同じことを言っています。ということは、下位層で殴り合いをすれば勝てる可能性は十分にあるということです!」「みなさん、今年受かった方がいいですよ。下の代には決して混ざらないでください。下の代は賢いです。だから皆で現役合格してしまいましょう!」私は学部長の話を聞いて、安心したような、なんというか・・・。要するに、今年の国試を受ける世代は全体的に出来が悪いから諦めないで!ということか。そういう励まし方もあるんだなぁ、と思った。まぁ、ゆとり直撃世代だからね。それが、反映しているのかも。
■鬼教官の顔にも笑顔!?
続いて、副担任の先生がマイクをとった。「今日はちょっとテイスト違うな、と思ったでしょ?」と言った先生の言葉に笑いが起きた。というのも、この副担任の先生は病院実習で厳しいことが有名だったからだ。いわゆる鬼教官といってしまっていいのかしら。そんな厳しい先生がほほ笑んで私達へエールを送ってくれたから、講義室は笑いで包まれた。
だが、それが一層、国試というイベントの重大性というか、非日常性というか、そういった「ただごとじゃねぇな」といった雰囲気を感じさせた。
副担任の先生は自身が国試を受けたときの体験談を語ってくれた。
「怪しい情報が回ります。私の時は『川崎病が出る!』という噂が回りました。本番は一問も出ませんでした!」
「そういう怪しい情報に惑わされずに、平常心で戦ってきてください!君たちなら大丈夫!がんばれ!」
力強い応援に私達はすごく励まされた。
■まさかのおみくじ不発事件!
それから何人もの先生が色々とエールを送ってくださった。なるほど、これが「決起集会」。確かに、決起する。いずれの先生方も修羅大の大先輩。こうして応援して下さる先輩方の言葉を聞きながら、修羅大の愛を感じ、いかにこれまで修羅大という母校に支えられてきたかということをかみしめていた。きっと皆もそうだったことと思う。
こうして士気が高まりに高まったとき、最後にもう一人の副担任の先生がマイクをとった。(副担任は複数人いらっしゃる。)
その先生は毎年、国試応援として家族で太宰府をお参りして、おみくじを引いてきてくれるのだという。「毎年、大吉を出しています」という言葉に、教室の熱気も高まった。
先生「今年も家族でお参りしてきました。」
学生「おーっ!」
先生「例年より一週間早くお参りしたからかな?ちょっと大吉の割合が少なかったのかも・・・。」
学生「おー・・・?」
先生「家族全員で引いたんですけど、大吉が出なくて・・・ただ、僕がひいたおみくじはまだ明けていないんです。」
学生「おーっ!」
先生「今日、持ってきています!どうしますか?開けますか!?大吉という保証はありません!」
学生「おーっ!?」
もし大吉だったら、もう士気は上がりまくり!これ以上のものはない「決起集会」となることだろう。ただ、大吉でなかったときのことを考えるとこわい。講義室は一瞬、静まり返った。
すると、学部長がひとこと「・・・あけようや」。
先生はびりっとおみくじを開けた。皆の注目がその一点に集中する!「あ!大吉でした!」・・・となるはずであったが。おみくじをあけた先生は「うーん」とうなり始めた。
先生「あ、学問の欄だけ読みましょうか!」
学部長「え?そんなに悪いの?」
先生「いや、そんなに悪くないです!」
学部長「・・・あー・・・。」
先生「そう、悪くない!悪くないよ!」
学部長「これは国試終わってから言うということで・・・。」
先生「慰労会の楽しみにしましょう。」
・・・私達は決起集会で開けられたおみくじの結果を、まだ知らないでいる。ただひとつ言えるのは、大吉ではなかったようだ・・・ということだけだ。
かくして、決起集会は終わった。
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