こんにちは、みなさん。
あらやだ・・・。
マニキュアがない・・・!
如月サディ、28歳。遅咲きの目覚め。
あなたは男なのにマニキュアだなんて、オカシイと思っていらっしゃるのかしら。ええ、確かにかのアドルフ・ヒトラーは、男のような女、女のような男が現れたときは、国が滅ぶときと言っていたわ。
でも、私はそうじゃない。
私は男。でも、マニキュアを使うの。
実験の道具作りのためにな!
実験に使う試料作りで、マニキュアを使う。研究班の先輩でもある中姉弟子が大学院生のときに試行錯誤した結果、色々と都合がが良く操作性も高いため、市販のマニキュアを使うようなったのだという。
そんで、試料作りをしている最中に、そのマニキュアがなくなってしまったのだ。
私は中姉弟子に「先輩はどちらでこのマニキュアを買いましたか?」と聴いた。すると「このマニキュアは置いてあるお店が限られているのよ」とネットで在庫のあるお店を探してくれた。「近場でテキトーなマニキュアを買うってわけにはいかない・・・ですよね?」と当たり前のことを言うと「実験の条件が変わっちゃうからね」と言われた。そりゃそうだよね。
「このお店に在庫があるみたい!電話してから行くといいよ!」
中姉弟子に感謝しながら、直ちに薬局に電話。在庫は2本。
「じゃあその2本、いますぐに買いにいくので押さえておいてもらっていいですか?」
マニキュアを買い占める男、如月。
医局を飛び出して電車に乗って市街地へ。地下街を歩いて薬局に。「マニキュアを抑えておいてもらった如月ですが」と言うと、「ああ!」という顔をしてマニキュアを出してくれた。そうそう、これこれ。
こうしてなんとか試料作りの下準備を終えた私は、今日の放課後、歯学部の向かいの工学部に居座って実験を行った。工学部に出向いて研究室を借りて実験していることは以前も書いた通りだ。
だんだんと手際もよくなってきた・・・けれども、なかなか計画通りに行かず。「実験は計画通りにいかないのは世の常ですから」と工学部の先生にも励まされた。
いやーん失敗しちゃった!
やった、うまくいったわ!
ひとつひとつの結果に一喜一憂。それでも着実に実験は進んだ。
「・・・くん」
「如月くん!」
はい。
「そろそろ帰りたいんだけど、まだかかりそう?」
はい。すみません。
「もっと早く来られない?昼間は何してるの?」
昼間は診療したり、TAとして実習に出ています。
「そっかぁ。じゃあ仕方がないか。」
・・・すみません。
「実験が計画通りにいかないのは世の常・・・ですが、あまり遅くならないように計画を立てるようにね。」
すみません・・・。
「でも、焦らずにね。急ぐと実験は失敗しちゃうから。」
すみません・・・。
・・・。
失敗なんて・・・。
変な夢だったと思い込めばいい。
ボクが変われば世界は一瞬で変わるのだから。
欲望は女の子の生きるエンジン。
明日何着てく?
あーすみゅーじっくあんどえころじー。
諸先生方のお力添えによって、今日も大学院生らしく過ごすことが出来るのであった。
それでは、ばいちゃ☆