おふろのデパート「澄川温泉」で仕事の疲れを癒す!
私、日曜日は大体、精進歯科でアルバイト。
若い頃の苦労は買ってでもしろというし、せっかくの機会だから、自ら進んで行っているようなところもある・・・が、時には日曜日らしいこともしてみたいと思うこともある。
そんなとき、診療終わりの私の目にとまったのは・・・。
そう、お気づきだろうか?
精進歯科の斜め向かいにある・・・。
巨大な狸。
ずっと気になっていたのだが、今日、思い切っていってみることにしたのだ。
このとき私は診療の後ということもあって、肩までたっぷりとお湯に浸かりたくてたまらなかった。せっかくの日曜日、それくらいの贅沢は許されているはずである。
「おふろのデパート」という宣伝文句が私を誘う。「澄川温泉」。温泉と銘打たれているが、温泉ではなく銭湯。
洗面器を持った人々が私の横をすり抜けて、吸い込まれるように入っていく。
靴箱から、味があってよい。
番台のおばちゃんにお金を渡して、男湯へ。脱衣所の真ん中には、いかにも昭和といった感じの、焦げ茶色の按摩器。コインを入れれば動く、未だに現役の代物。あとは、ばねの力で測ってますといったカルミンみたいな色の体重計の、ガムテープでぐるぐる巻きにしてある身長の測定器。ロッカーのカギは安い灰皿のような金属で、髪留めみたいなゴムが括り付けられていた。それを手首に通すと、じっとりと冷たく湿っていた。
風呂場は大変な賑わいようだった。こんなに地元住民から愛されている銭湯がここに残っているのかと感動すらした。
「お風呂のデパート」と言うだけあって、色んな設備があって面白かった。
床に足の形で石が置かれていて、足つぼを刺激できるコーナーがあった。そこには「あしげんき」とパネルがあったのだが、その横に小さくカタカナで「(ソクゲンキ)」と書いてあった。最初「?」と思ったけれど、なるほど、「即(ソク)」と「足(ソク)」をかけているのだな!とすぐに合点がいった。洒落てるじゃないか。
(引用:札幌公衆浴場商業協同組合)
あとは、うたせ湯、かおり風呂(この日はローズ)、赤外線風呂、電気風呂、ミストサウナ・・・。でも、やっぱり大きな湯船でゆったり・・・嗚呼、幸せ。
それぞれのお風呂に入り方がイラスト付きで説明されているのだけれど、どのパネルもどういうわけか、ちょっと藤子不二雄テイストのグラマーな女の子だったのも、また粋だと思った。
これは番台さんの横にあった掲示物の写真だけど、浴場内もこのイラストだった。味があってよい、てか可愛い。
ところで、私が驚いたのは、入れ墨のはいったお客さんがとても多いということだった。ナニワ金融道の朱美もびっくりな立派なもんもんたち。調べてみると、タトゥーがはいっている人でも利用することのできる施設をまとめているサイトがあって、ここも載っていた。なるほど、そういう需要もあるのね。
風呂上りには「エアーバス」。個室に入ると、部屋の壁から空気が噴射される。こりゃいい。身体もすぐに乾く。なんて良い所を見つけてしまったんだ。むしろ、もっと早く来ればよかった。日曜日、仕事終わりに、ここにさえくれば癒しにもなるし、ちょっとは日曜日の匂いをかぐことができるような気がした。
そんなホクホクした気分で脱衣所を出ようとした、その瞬間である。
え!
番台さんのところにかかっていたカレンダーも、6月17日以降はすべて赤いマーカーでばってんされていた。
悲しい・・・せっかくオアシスを見つけたと思っていたのに。混んでいたのも、そういうわけだったんだろうか。
「きょうもボクのおふろに入ってくれてありがとう」
何気ない掲示物も、ひとつひとつ、いちいち切なくみえてきた。たぬき、お前はさんすけというのか。
「またきてね」の文字が悲しい。
地下鉄の風に頭を乾かせながら、帰路につくのであった・・・。
それでは、ばいちゃ☆