セル・カウンター
誰が言ったが「大学院生の本分は研究」と。
その言葉の通り、私はH先生に御指導いただきながら、じわじわ研究に取り組んでいる。その模様は度々このブログでも書いているけれど、細胞を培養させたり、試料を作ったり、薬剤やごっつい機械を使ったりしていると「おお、院生っぽい!」と妙にうれしくなるものだ。
これが次第に「え?こんなの院生として当たり前ですけど?」みたいな感じで、メガネをくいっとさせたりするようになるんだろうか。でも、それはまだまだ先の話し。今はH先生におんぶにだっこ。一挙手一投足をドキドキしながら取り組んでいる。
「こうするんやで」
「はーい!」
ある日、私は自分で培養した細胞を計算することになった。「細胞数の計算」とか言うと、何かしらのメカに何かを取り込んでウィーン!とカウントするのかと漠然と思っていたけれども、そうではない。意外とローテクで、セルカウンターなるものに培養した細胞を乗せて、顕微鏡で覗き込んで、「1,2,3,4,...」と自分で数えていくのだ。
やっぱり研究というのは、前人未踏の部分に足を踏み入れていく作業だから、逆に汗と涙の泥臭い作業の連続みたい。
さて、私は「セルカウンター」と聞いたとき、言葉の響きがなんだかドラゴンボールみたいだと思った。
画像はセルじゃなくてフリーザだけど。 なんか目のところにスカウターのようなものを付けて、ピピッ!と細胞数を計算するのかも・・・と想像(もはや妄想)していたけれど、全然違った。前述した「何かしらのメカ」というのは、私の頭の中ではとどのつまり、スカウターだったのだ。まぁ、それはどうでもいいんだけど。
冗談はさておき、セルカウンターはこういう特殊な加工がなされたガラス板である。私はこれを初めて見たとき「全然スカウターじゃない」と思った。
細かい使い方をここで書いても仕方がない。ネットでググれば、すぐに取扱説明書をダウンロードすることができる。
私はこのセルカウンターを使うとき、H先生から頂戴した取り扱い説明書を見ながら細胞の数を計算した。ちなみに、取り扱い説明書は以下のようなものだ。
私は「使用方法」の項目を順を追って行いながら、「使用上の注意」にも目を通した。
「使用上の注意・・・か」。私は1から順番に読んでいった。
「1 細胞計数はばらつき防止のため・・・なるほどなるほど」
そして「6」まで読んだ時、私はびっくりした。
これまで散々、使用方法を順を追って説明し、6項目にも及ぶ「使用上の注意」をした挙句の果てに!最後の最後に!
「7 本製品は研究用です。」
これは最後にわざわざ書き添えるものなんだろうか。しかも、「以上」とバシッと切り上げていく強気な姿勢。こ、これが、研究・・・か?
でも、これはまず最初に断わっておくべきことなんじゃないか?てか、断わる必要があるのか?
例えば・・・。
「嗚呼!趣味で細胞の数を計算していたけれども、それはあくまで趣味であって研究用ではないから、これは使っちゃだめだったんだ!嗚呼!先に断わっておいてくれさえすればこんなことには・・・。最後の最後に研究用だと書いてあったから、この数えた細胞は無駄になってしまった・・・!」
みたいなこと・・・ある?
例えば・・・。
「け、研究用!?しまった!これは商業用で細胞の数を計算するのだから、これは使っちゃいけないんだ!」
みたいなこと・・・ある?
細胞の計算が趣味とか、商業用の細胞計数が何か・・・というのは、さておき、どうして、注意書きの最後の最後にわざわざ「研究用」と断わりを入れたのだろう。真相は藪の中。
ということで、私が研究に関してビギナーすぎて、道具のひとつひとつにでさえ、すっごく一喜一憂して大騒ぎしている・・・という話であった。
それでは、ばいちゃ☆