サディの夏休み1:変わりゆく小倉
実は医局でお休みをもらって、8/18〜8/22の5日間、北九州に行っていた。
札幌は既に夏は殆ど終わりかけているけれど、北九州はまだまだ夏真っ盛りだった。
半年ぶりの北九州は、驚くほどに街並みが変わっていた。私が学生だった頃は、まったく変わる素振りなんて見せなかったこの街は、私が卒業してから、ごんごらごんごら変化していく。変化を嫌うのは良くないこととは思いつつも、懐かしい風景が変わっていくのを目の当たりにすると、なんだか寂しい気分になる。それは北九州だけではなく、札幌であってもそうなのだけれど。
私が一番驚いたのは、駅前だ。
あのアヤシイ「大丸ビル」が姿を消して、ガラス張りの綺麗なテナントビルが・・・!まだ工事中みたいだけれど、あの怪しさこそが北九州であり、小倉ではなかったのか!まるでストリップ小屋をよそ者に見せないように立ちはだかるビルヂングに私は驚愕した。
でも、安心してください!ストリップ小屋はきちんとあったから!
反対側にあった大きな郵便局もすっかり更地になった。再開発がぐんぐん進んでいるようだった。そこには何が入るのだろうか。小倉駅前がどんどんあか抜けていく。
魚町の象徴だったマクドナルドがなくなったのは、私が大学6年生の時だった。最後に行ったのは、国試の模試を受けた帰り。自己採点を魚町マックでしたっけ。魚町マックの閉店は地元のニュースにもなった。それもあっという間に更地になった。「ここに何が来るのかなぁ?」と漠然と気にかけてはいたが・・・。
かつて魚町マックがあったところには、今話題の「いきなりステーキ」が行列を作っていた。よかった、駐車場とかになってなくて。
井筒屋の方面に差し掛かる。
井筒屋の斜め前に大きく立ちはだかっているのは旧小倉ホテル。ずっと何の建物かわからなかったけれど、正面にまわってみると「KOKURA HOTEL」の表札があった。この旧小倉ホテルは解体の話しが何年も前から出ては引っ込み、引っ込んでは出ての繰り返しだったそうだが、この度、ついに来年度中の解体が決定したとのことだった。
確かに、この場所でこの圧倒的存在感は異様だった。あっちへ行けば魚町、こっちへ行けばリバーウォーク、そして目の前に井筒屋という超一等地に、でんと廃墟。これを再開発するくらいの元気が北九州にも出てきたということだろうか。
この旧小倉ホテルを見下ろすように立っているのは、古き良き小倉の繁華街の象徴であるマルゲンビルだ。夜のテナントビルとして君臨していた・・・らしい。全盛期には東京の銀座にもビルがあったらしいのだが。今となっては、深刻な老朽化により、北九州市中に廃墟のマルゲンビルが遺跡のように林立するばかりとなってしまった。
そのマルゲンビルのなかでもとりわけ大きかった、このマルゲンビル30も近いうちに解体されることが決まったそうだ。私たちが学生だった頃は、まだマルゲンビルも虫の息ながら呼吸しており、このビルに入っていたゲイバーに友達みんなで行ったなんてこともあった。全盛期を知らないまでも、北九州の繁華街の景色には必ず存在していたマルゲンビルが無くなってしまうのは、寂しい。小文字交差点の歩道橋が無くなってしまったときも、まったく違う街になってしまったような気分だったが、そういう気持ちになってしまうんだろうか。
一方で、誰が呼んだか魚町大火で焼け落ちた土地には北九州とは思えない(!)お洒落なテナントビルが建築されていた。こういう新しい波もじわじわと押し寄せてきているみたい。こうして、思い出の街は姿形を変えていくのか。これはまさに、あれだな、TULIPの「夕陽を追いかけて」だな。
そんなことを思いながら街を歩いた。
夕焼け空がやけに綺麗だった。夏の夕暮れは人の心をセンチメンタルにする。とぼとぼと歩きながら私はふとこんなことを思った。「そういえば、蝉の声、今年初めて聴いたな」。夏真っ盛りの北九州は其処此処で蝉がミシミシ鳴いていた。今年の北海道は蝉の鳴かない年だったようで、この夏一度も蝉の鳴き声を聞いていなかったことに、このとき初めて気が付いた。
なんだか、出だしからおセンチな文章になってしまったが、九州旅行はまるで帰省のように楽しかった。九州国立博物館に行ったり、平尾台を踏破したり、ちょっぴりマニアックな珍スポットに行ったり、恩師に会ったり・・・と本当に書きたいことが目白押しなのだ。ということで、これから「サディの夏休み」と題して、何回かにわけてこの九州旅行をじっくり振り返っていきたいと思う。
そうだな、このままでは、この記事、ちょっと暗い感じになってしまう・・・あ、そうそう!この日、散歩をしながら、こんな懐かしいものを食べたのだった。
佐賀の生んだ至宝!ブラックモンブラン!
久しぶりに食べたけれど、やっぱり美味しかった。
ブラックモンブランを食べながら、また北九州の街を歩いた。残念ながらはずれだった。真っ白なアイスの棒を加えながら、横断歩道を渡ると、なんだか学生時代のことを思い出した。あの日々がまるで遠い昔のようなのが、なんだか不思議。そうそう、ここにロイホがあって・・・あ、思い出のロイホ、更地になったままだ・・・。
どうしても、新しくなった変化よりも無くなっていく変化の方に目がいってしまうのであった。
かくして「サディの夏休み」はじまりはじまり〜。それでは、ばいちゃ☆