俺はタクランケ!(歯学院生の日常)

ハロー、ハロー聞こえますか?
こちら太陽系第三惑星地球・・・。
あなたの世界とちょっとよく似たこっちの世界。
そっちがこっちで、こっちがそっちのパラレルワールド。
平行と交錯、現実と虚構。
ここは、それらの混沌から滴り落ちた、雨粒のようなブログ。
そちらの地球のお天気はいかがですか?

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2017.08.02 Wednesday

決死!たくゆう戦線波高し!

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     今日はたくゆう歯科だった。

     大分慣れてきて、4月に比べると自分でもわかるくらい手が動くようになってきた。自分で言うのも恥ずかしいくらいだが、半年前は1時間かけてファイル1号分しか拡大できなかったりした私だが、今では1時間あれば麻抜して根充が可能な程度まで拡大をすることができるようになった。段々、水曜日のバイトが楽しくなってきていて、腕試しというか、「よっしゃ!やったるで!」という気持ちで朝、汽車に乗る。

     また、ドツボにハマることもなくなってきた。以前は、気がつけば1時間、2時間が経過して院長をうならせていたが、今では多少まわるようになってきた。院長からも「まだまだだけど、大分慣れてきたね!」と褒められたりもするようになった。

     昼休みには院長やスタッフさんとも談笑して過ごしたりするようになった。我ながら良い意味でリラックスしてきたなと思う。今日なんかは、あるスタッフさんが「私はパンが好き」と、色々なパン屋さんの話しをしてくれた。私は、お店の名前が出る度に手元にある携帯で検索して「今度行ってみますね」と返事をした。

     自分の成長を実感することが出来て、とても充実していた。

     

     ・・・が、その矢先のことであった。

     1人、また1人と割り当てられた患者を治療していた。「このペースなら、定時には帰れそうだ」。全体的に良いペース。たくゆう歯科はサドンデス方式なので、バイトであっても全員が終わるまで帰れない。延長すれば、延長した分だけ帰宅が遅くなるのだった。

     少し肩で息をしながら、院長の指示に「はい、はい」と一つずつ答えていった。しかし・・・!

    「ぐわぁあ!」

     具体的なことは言えないけれど、終了間際の土壇場で事件は起こった。院長からの指示を私は間違えてとらえてしまったため、今日のところはしなくてもよかった部位まで処置をしてしまい、予定していた時間では終わらない可能性が出てきたのである。これを戦争映画で例えるならば、もうすぐ敵陣を突破して頂上に到達するかしないかのところで、被弾してしまったシーンの絶望感に似たものがあった。

     

     泣きそうになりながら処置をする私。次々と終わっていく院長やほかのドクターたち。スタッフさんたちの片付けの音が耳に痛い。待合室のテレビの音も診療室にまでしっかり聞こえるくらい周囲は静かだった。私はもう消えてしまいたかった。患者さん、ごめん。スタッフさん、ごめん。ごめんごめん・・・私の心は押しつぶされそうだった。終わりが見えない。終わるのか?今日、私はたくゆう歯科から出ることができるのだろうか。そんなことを思いながら震えそうになる手を抑えながら必死に処置を進めた。

     

     そんな私に、あるスタッフさんが「何かすること、ありますか?」と声をかけてくれた。昼にパンの話しをしていたスタッフさんだ。

     「私がかわりましょうか?」

     「め、面目ないです・・・」

     

     すがるような眼差しで、ベテランのスタッフさんにバトンタッチ。かつて日支事変において、ある手記に「日本兵1人は、支那兵10人に匹敵する」と書いてあったことを思いだした。ベテランのスタッフさん1人は、ぺーぺーのドクター10人に匹敵する・・・いや、それどころか。

     そして、そんな危機的状況下にあって、スタッフさんは丁寧にいろんなことを教えてくれた。教科書には書いていない、大学では学ぶことのできない、臨床の小技。私は感謝と申し訳なさでいっぱいになった。

     かくして、私はベテランスタッフさんのお蔭でたくゆう戦線から帰還することができたのであった。

     

     皆の退勤時間を1時間以上も延長させてしまって、本当に申し訳ない気持ちで医局へ戻った。まずはスタッフさんに感謝と謝罪。院長や他のドクターにも「すみませんでした」と頭を下げた。

     

     たくゆう歯科の皆さんはとても優しくて、笑って許してくれた。これが修羅大だったら「てめぇ!」と物理的にも精神的にもけちょんけちょんに打ちのめされただろうと思う。そうされることが、本当は私の成長のためには必要なのかもしれない。けれども、このときばかりは、今日ばかりは「なんて良い人たちなんだろう・・・」と涙が出そうな気持ちになった。

     帰りの車の中で「いやぁ、久しぶりに焦った焦った」とスタッフさん。「喉がからからになって、ビールが美味しいんじゃないですか?」と院長。私がたまらず「すみません」と言うと「いやいや、謝ることはないですよ。ビールが美味しくなるんですから!」と院長とスタッフさんが笑って答えてくれた。

     

     ・・・がんばろう。

     

     それでは、ばいちゃ☆

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    コメント

    読めば読むほどすごく良い院長、スタッフさんですね!
    私の周りでは、開業医に出て何もできない時期に理不尽でボコボコにされた友達、たくさん見てきてます。院長から暴力振るわれたり、突然クビを切られた友達もいたな、、
    まあそれは最低の例ですが、本当に貴重な時間だと思うので、正直羨ましいです!頑張って下さい&#10133;お互い頑張りましょう!
    2017/08/06 9:18 AM by 開業医でたて(某中国地方駅弁大出身)
    >開業医でたて(某中国地方駅弁大出身)さん
     コメントありがとうございます。
     本当に、医局の師匠、バイト先の先生・・・周りの人に恵まれて、幸運です。このラッキーに胡坐をかかずに、積極的に学び、この下積み生活を過ごしたいと思います。
     理不尽でボコボコ・・・それに耐えうるだけの精神力が無ければ大成しないのかもしれないですが、もし私が勤務先でそのような仕打ちを受けたら・・・と考えると、普通に行動どころか脳まで萎縮してしまって、破綻してしまいそうで怖いです。
     お互い、がんばりましょう!私もコメントを頂いてとても心強いです。
    2017/08/06 11:02 PM by サディ

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