俺はタクランケ!X

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2019.01.08 Tuesday

1号鋳造機、未だ空気出ず!

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     今日は部分床義歯(部分入れ歯)の実習で鋳造をやった。

     後期の実習のひとつの山場だ。鋳造というのは、これまで一生懸命作った鋳型にガスバーナーで熱してどろどろになった金属を流し込んで、部分床義歯の金属のパーツを造るという行程だ。

     ガスバーナーはガスと空気のチューブが壁から繋がっていて、それぞれを調整しながら、青い還元炎をつくって金属を溶かす。

     この火の調整が鋳造の肝なんだけど、これがなかなか難しい。

     真赤な酸化炎になってしまったり、空気がはいりすぎてボボボボ大きい音がたってしまったり、学生を指導しながら、丁度良い火加減に誘導していく。

     

     

     

     さて、雪大歯学部の鋳造室は五十年前の設備をそのまま使っている。なんなら実習のカリキュラムもほとんど50年前と同じらしい。ただ、設備もカリキュラムも来年度から一新されてしまうらしく、このカリキュラムで、昔ながらの鋳造室を使う実習もこれが最後になるのだという。平成最後の・・・と感慨に浸りたいところだが、そんな余裕がなくなるくらい、設備のガタつき具合がすごかった。

     

     壁に取り付けてある空気の元栓。これが問題なのだ。

     通常であれば、このように、チューブが固定されている。

     いや、もちろん固定はされているのだけれど、この留め金が馬鹿になっていて、普通にベントを開くと・・・

     すぽーん!とチューブが抜け、鞭のように跳ね返ってくるのであった。

     

     かくして、私たちは教員と学生が一丸となって、代わりばんこで鋳造しながら、チューブを抑えつけておかなければいけなかった。雪大ならでは、これが五十年の重みか。チューブを抑えつけておかなければ、バーナーの火が安定しない。下手すりゃ鞭打ちの刑。チューブ抑え係りの使命は重い。

     勢いよく出てくる水の蛇口に、指をあてがって塞いで水をとめようとしているような、そんな難しさがあった。一回やると誰もが握力を失った。代わる代わる男子学生が出て来る。ある者は指が真っ青になっていた。私も既に何回か押さえていたため、手が震えていた。

     

     

     

    「しっかりしめろー!」

     

     エアーベントからは常に切り裂くように鋭い空気の音が漏れ出ていた。

    「先生、すっごいきついです・・・!」

     

    「がんばれ、あともうちょっとだ!」

     

    ボボボボボボボ!

     

    ポーン!

     

     

     

    「もっとしっかりしめろ!」

     

    「はいぃ!」

     

    (※ここまでを何度も繰り返し)

     

     

     

     かくして平成最後の鋳造実習は幕を閉じたのであった・・・。

     

     

     

     来週も別の班であるけどね!

     

     それでは、ばいちゃ☆

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