1号鋳造機、未だ空気出ず!
今日は部分床義歯(部分入れ歯)の実習で鋳造をやった。
後期の実習のひとつの山場だ。鋳造というのは、これまで一生懸命作った鋳型にガスバーナーで熱してどろどろになった金属を流し込んで、部分床義歯の金属のパーツを造るという行程だ。
ガスバーナーはガスと空気のチューブが壁から繋がっていて、それぞれを調整しながら、青い還元炎をつくって金属を溶かす。
この火の調整が鋳造の肝なんだけど、これがなかなか難しい。
真赤な酸化炎になってしまったり、空気がはいりすぎてボボボボ大きい音がたってしまったり、学生を指導しながら、丁度良い火加減に誘導していく。
さて、雪大歯学部の鋳造室は五十年前の設備をそのまま使っている。なんなら実習のカリキュラムもほとんど50年前と同じらしい。ただ、設備もカリキュラムも来年度から一新されてしまうらしく、このカリキュラムで、昔ながらの鋳造室を使う実習もこれが最後になるのだという。平成最後の・・・と感慨に浸りたいところだが、そんな余裕がなくなるくらい、設備のガタつき具合がすごかった。
壁に取り付けてある空気の元栓。これが問題なのだ。
通常であれば、このように、チューブが固定されている。
いや、もちろん固定はされているのだけれど、この留め金が馬鹿になっていて、普通にベントを開くと・・・
すぽーん!とチューブが抜け、鞭のように跳ね返ってくるのであった。
かくして、私たちは教員と学生が一丸となって、代わりばんこで鋳造しながら、チューブを抑えつけておかなければいけなかった。雪大ならでは、これが五十年の重みか。チューブを抑えつけておかなければ、バーナーの火が安定しない。下手すりゃ鞭打ちの刑。チューブ抑え係りの使命は重い。
勢いよく出てくる水の蛇口に、指をあてがって塞いで水をとめようとしているような、そんな難しさがあった。一回やると誰もが握力を失った。代わる代わる男子学生が出て来る。ある者は指が真っ青になっていた。私も既に何回か押さえていたため、手が震えていた。
「しっかりしめろー!」
エアーベントからは常に切り裂くように鋭い空気の音が漏れ出ていた。
「先生、すっごいきついです・・・!」
「がんばれ、あともうちょっとだ!」
ボボボボボボボ!
ポーン!
「もっとしっかりしめろ!」
「はいぃ!」
(※ここまでを何度も繰り返し)
かくして平成最後の鋳造実習は幕を閉じたのであった・・・。
来週も別の班であるけどね!
それでは、ばいちゃ☆