俺はタクランケ!X

ハロー、ハロー聞こえますか?
こちら太陽系第三惑星地球・・・。
あなたの世界とちょっとよく似たこっちの世界。
そっちがこっちで、こっちがそっちのパラレルワールド。
平行と交錯、現実と虚構。
ここは、それらの混沌から滴り落ちた、雨粒のようなブログ。
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2018.08.12 Sunday

父の懐かしい人

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     今日は父が学生時代にお世話になったというご夫婦と会食だった。

     私は思わず「初めまして」と言ってしまったが、物心つく前にお会いしたことがあったらしい。ありゃ。ただ、今回の会食はこのご夫婦が「大きくなった如月さんの息子さんと会いたい」と言ってくださったことがきっかけだったそうだ。

     

     父は大学生の頃、塾講師のアルバイトをしていたという。このご夫婦は、バイト先の塾を切り盛りしていた二人で、父をはじめとするアルバイトの大学生たちを非常によくしてくれたとのことだ。

     ご夫婦は父のことを「如月さん」と呼び、父はご夫婦の旦那さんを「先生」、奥さんを「おばちゃん」と呼んで、思い出話に花を咲かせていた。

     「先生」はしきりに私の顔を見て「本当に似ている」と繰り返し言っていた。

     

     私は、家族以外から父の昔の話を聴くのは、ほとんど初めてのことだったのでなんだか新鮮だった。

    「お父さんはどんな塾講師だったの?」

     そう聞くと、母がかつて父の塾講師仲間が「如月先生、すごい勢いよく講義しているけど、違うこと言っている」と言っていたことを教えてくれた。

     すると父が「人生には勢いも大切ということを教えてやっていたんだ」と照れ臭そうに言っていた。

     

     父が「先生はね、板書の字が本当にきれいだったんだ」と言った。

     それに答えるように、おばちゃんが「大きい教室でマイクを使わないで、大声で講義をしていたのよ」と父の講師っぷりを教えてくれた。

    「そうだぞ、片手に竹刀をもってだな」

    「なんで、竹刀を持ってたの?!」

    「バシバシ音をたてて注目を集めるためだよ」

    「みんな持っていたのよ」

     なるほど、講談師のアレ(名前は知らない)の要領で竹刀を使っていたのか。若い頃の父が竹刀を片手に口角泡を飛ばして講義をしているところを想像すると、ちょっと面白くなってしまった。今は竹刀ではなく、エンジンを持っているけど、持ち前なのか塾講師で鍛えられて身に付いたのかはわからないけれども、その大きな声は健在である。

     

     その当時のことを振り返りながら話している父もご夫婦も、とても楽しそうだった。その頃は、父をはじめ若い大学生バイトがたくさんいて、みんなでわいわいやっていたのだという。ご夫婦の家で皆で雑魚寝で泊まったり、皆で麻雀遊びに興じたり、本当に聴いているだけでこちらも楽しくなってしまうような。

    「おばちゃんはさ、麻雀、強くってさ」

     そういう時期が父にもあったのだと思うと、なんだか私も嬉しかった。

     

     先生も思い出話を始めた。

     先生は血液型でB型を物凄い馬鹿にしていたのだという。

     B型のバイトに「これだからB型は」なんて言葉を吐き捨てたりもしていたらしい。しかし、ある日、採血に行ったときに自身がB型であることがわかってしまったのだという。散々馬鹿にしていたB型。まさか自分もそのB型だったなんて、ひっくり返るほど驚いたのだという。というのも、当時は高校のときに血液型を調べる実習があり、そのときはA型と出ていたらしい。だから先生は自分のことをAだと思っていて・・・ということもあるのだ。

     しばらくそれは隠されていたらしいが、瞬く間に塾内にその話が広まってしまった。

     おばちゃん曰く「急にB型も悪くないぞなんて言い出しちゃってね!その変わり身の早さがB型なのよ!」とのこと。

     

     思い出の矛先はちらりと私もかすめた。

     「サディくんが家に遊びに来た時があったのよ」とおばちゃん。

     「アンパンマンの玩具をすごく欲しがってたんだけど、あげなかったのよ、あはは・・・」

     私は「人様の家のものを欲しがるなんて、なんて図々しい子供だったのだ!」と過去の自分を責めつつ「今はもうすっかり欲しくなくなったので大丈夫です」と答えた。

     「なんかね、あなたはずっと階段を上ったり下りたりしてたわね」

     確かに、小さい頃、階段をよく上ったり下りたりしていたような気が・・・でも、これだけ見ると、すごいアホの子みたい。

     

     次お会いするときは、妹が札幌に帰ってきたら・・・。

     そういうことで、今回の会はお開きとなった。

     そういえば、珍しく父があんまり写真を撮っていなかった。そのことからも、父にとって、この二人がとても大切で非常に敬っている人たちなんだろうということが伝わって来た。

     私が「写真撮らないの?」と促すと「お、そうだな」とさっとカメラを取り出して、いつにもましていそいそと撮っては、またポケットにカメラを戻していた。その今日、父が撮った数枚の写真から、一枚くらい引っ張って来てここで貼り付けてしまおうかしら。

     ちゃんとぼけてる。話しの腰を折らないように、急いでたんだね。ふふ、とても胸が温まる一日だった。

     

     それでは、ばいちゃ☆

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