【映画】スパルタの海
ムッキムキの伊東四朗がギラギラ!
題名:スパルタの海
監督:西河克己
脚本:野波静雄
原作:上之郷利昭「スパルタの海 甦る子供たち」
製作:天尾完次
出演者:伊東四朗、小山明子、平田昭彦など
音楽:甲斐正人
撮影:山崎善弘
配給:アルバトロス
公開:日本の旗 1983年9月(中止)/2011年10月
上映時間:105分
泣く子も黙る「戸塚ヨットスクール」を題材に描かれたノンフィクション作品ということで、ドキドキしながら見てみたのだが、正直拍子抜けであった。もっとドキュメンタリータッチのものを期待していたのだが、「スクール・ウォーズ」を彷彿とさせるドラマテイストのものであった。
実は、スパルタで名高い「日生学園」の紹介ビデオを見たことがあって、そのときのような衝撃を期待(と言ったらニュアンスが難しいのだけれど)していたのだが、やはり本物の迫力には及ばない・・・か。
もちろん、子供たちが体罰を受けているシーンも数多く見受けられる。「ああ、こんなに殴られて可哀想・・・」と思ってしまうタイミングに、すっとその子供が如何に酷い家庭内暴力を働いていたのかというシーンが挿入される。そして「だったら、こんなにされても仕方がないよな・・・」と思ってしまうように上手く場面が構成されていた。
けれども、きっと実際はもっとすごかったんだろうと思う。映像作品にしてしまうことによって、色々とマイルドになってしまっている感は否めない。そうだな、踏み外してしまった子供たちのどうしようもなさやエグさ、それを構成させる壮絶さなどは、いまいち伝わってこなかった。人によっては、単なるヨットスクールのプロバガンダ映画だと評していたが、そうとられちゃっても仕方がないのかもしれない。
だからといって面白くなかったわけではなかった。非常に面白かったのだ。なんなら「自分の子供が道を踏み外したときには戸塚ヨットスクールに入れて性根を叩き直してもらおうかしら」と思ってしまうような出来栄えであった。もちろん子供をそういう状態にしてしまった親へのメッセージ的なものも含まれていたが。
とにかく特筆すべきは戸塚校長を演じた若き日の伊東四朗。これがまた素晴らしく黒光っていて、なんだかイメージと違った。こんなムキムキギラギラの伊東四朗、なんかやだ。
そんな本作であるが実は、一度お蔵入りになっている。
丁度、戸塚校長が所謂「戸塚ヨットスクール事件(戸塚ヨットスクールにて訓練中に死亡したスクール生について戸塚校長を筆頭にコーチ陣が傷害致死によって起訴された事件、ちなみに本作はこの事件について描いている)」により逮捕されたため、公開が中止となってしまったのだという。
20年以上封印されていたが、「戸塚ヨットスクールを支援する会」の有志により、ビデオ化され、最近また再評価が進んでいるのだという。なんと、伊東四朗も戸塚ヨットスクールを支援する会の会長だったのだという。そうだったのか。
家庭内暴力などといった教育問題は、今ではどうなっているんだろう。その当時だけがとりわけひどかったのか。今も昔も変わらずひどいのか。当時だけの問題なのだとしたら、何が原因だったんだろうか。こうして考えてみると、私は教育学に関してはさっぱりだということがよくわかった。戸塚校長が唱えている「脳幹論」に医学的根拠がないということだけはわかるけれども。
戸塚ヨットスクールは、現在も支援者によって支えられながら活動中とのことだ。
それでは、ばいちゃ☆