三笠6:味わい深い炭坑跡を眺めて、じっくり味わってきたよ!
この記事は「三笠5:アンモナイトじゃない部分がとにかくこじんまりな三笠市立博物館!」
三笠市立博物館を出て、裏の野外展示へ。
外に出ると、恐竜がアンモナイトにかぶりついているモニュメントが設置されていた。本当にここの推しは化石なんだねぇ。それをしり目に、私たちは幾春別川を渡り、遊歩道へ。
川は丁度台風が通過したこともあって、水量が増していた。
今回、目指すのは「旧幾春別炭鉱錦立坑櫓」と「旧錦坑坑口」。
一歩進むごとにアシナガグモがわさわさと動いた。川の流れる音が大きく響いていた。この遊歩道をしばらく行くと、右手に途中で丸太で整備された階段が現れる。私たちはそれを上った。すると・・・。
あった!
これが、旧幾春別炭鉱錦立坑櫓か!
北炭のマークが清々しい。この櫓の鉄骨は、北九州の八幡製鉄所で作られたものらしい。説明書きのプレートによると、鉄骨には「SEITETSUSYO YAWATA」と印字されているとのこと。
私はなんだか嬉しくなってしまって、一生懸命探したけれども、終ぞ見つからなかった。無念。
それにしても、こんなに貫録のある建築物を見たのは随分と久方ぶりである。
まるで廃墟のような荘厳さ。
だが、すでにここは博物館によって管理されているため、廃墟ではなく歴史的な資料なのである。廃墟とは忘れ去られた儚さを内包していなければ味わいがないというのが私の美学。ということで、ここは廃墟ではない。極めて廃墟に近い、歴史的建造物だ。そこの線引きは難しいのだが、自分なりにかっちり引いておきたいのが、私のこだわり。
だから「もったいない」というのが正直な気持ち。誰も管理しない状態で、放置しておいてくれば、もっと味わいがあったかもしれないのに・・・。ここ以外にも、それこそ放置された状態の立坑櫓などが三笠の其処此処にあるらしいので、ぜひ朽ちて無くなってしまう前に散策したいものだ。これでこんだけすごいんだから、きっと他はもっとすごいんだろう。
まぁ、私のこだわりなんて、本当にどうでもいいことなんだけど。それにしても、シブイ。
草木に飲み込まれはじめているのも、儚くて素晴らしい。
ここを廃墟として紹介したかった。
また、この「旧幾春別炭鉱錦立坑櫓」の逆サイドには「旧錦坑坑口」もあった。こちらは川に下っていくように階段を下りていくとあった。急にぽっかりと現れるので、思わず「わ!」と声を出してしまった。
これは凄い!
もちろん坑道はしっかりと封鎖されてしまっていたが、地下水がたっぷりと湧き出ていた。その地下水には何かしらの成分が溶けこんでいるようで、なんだか硫黄のような匂いが立ち込めていたような気がした。
これだけ見れたら、もう満足であった。この世に法律が無くなってしまったら・・・、このブロックを崩して、中を探検してみたいものである。無理だけど。
こうして歴史散策を終えた私たちは三笠市が敷いた観光ルートに忠実に沿って、帰りに三笠天然温泉「太古の湯」に立ち寄った。
鉄道記念館・博物館のチケットを提示することで、随分と割引された。温泉に浸かりながら、私はこの日一日使ってめぐった三笠市に思いを馳せた。
三笠の街は、寂れてはいたけれども、不思議と悲壮感などは無かったように思う。石炭とともに繁栄して、石炭とともに衰退していく、ただそれだけ・・・と思っているかはわからないけれど、そういう風に色々な思いを消化出来ているのではないかなぁ、と思った。
また個人的には、三笠市の其処此処に散らばっているという、炭鉱遺構の廃墟たちをぜひとも散策してみたいとも思っている。
三笠、味わい深い街であった。
それでは、ばいちゃ☆