悲しき商店街シリーズ32(北九州市小倉北区旦過市場)
お久しぶりの「悲しき商店街シリーズ」。
今日、御紹介するのは北九州の台所、旦過市場。
(ネットより)
旦過市場はその古めかしさから「昭和レトロ」などともてはやされ、しばしばテレビや雑誌などで取り上げられる。
実際に行ってみるとわかるが、確かに旦過市場に足を踏み入れると、まるで昭和三十年代にタイムスリップしてしまったような錯覚に陥る。作られた昭和レトロではなく、マジモンの昭和レトロなのだ。
ただ、その古めかしさが見た目だけではなく、老朽化という形でここ数年表在化してきており、私が学生のときも二度ほど豪雨のときに浸水・水没して被害が出ていた。というのも、旦過市場は神嶽川の上にはみ出しており、国内唯一の水上マーケットという側面もあるらしい。
(ネットより)
ちょっと回り込んで裏から見ると、一目瞭然だ。
そういったわけで、2012年に市場の再開発が決定してしまった。リアルな昭和レトロを味わえるのも時間の問題となってしまった。そう、とても賑やかな市場を「悲しき商店街シリーズ」で取り上げるのには、こういった理由があったのである。最早、生きた文化遺産と言ってもいいほど貴重なレトロ空間が、あと数年で消え去ってしまう悲しみが、ここにはあるのだ。
さて、先日、北九州に帰った際に、なくなってしまうなら・・・と思って旦過市場に寄ってみた。
魚町銀天街を抜けると、スーパー丸和と共に見えてくる。丸和前ラーメンの豚骨臭さが郷愁を誘う。
スーパー丸和は日本初の24時間営業のお店だ。2015年に24時間営業をやめたが、その後市民からの強い要望があり2016年からまたフルタイム営業に戻っているそう。
「24時間営業」の文字が嬉しい。
向かいの森下フルーツのミックスジュースは青春の味。
訪れたのが年の瀬だったこともあり、普段以上の賑わいを見せていた。
「かしわ」ってところが、土地柄だよね。
この雑多な感じが良いのになぁ。また同じのを造ろうとしたら、消防法とかにはひっかかっちゃいそうだから、もうこんなスケールのものは出来ないんだろうな。
旦過市場の中にも小さな商店街がたくさんあって、脇へそれればそれるほど、昭和感がでてくる。実際に「昭和館」って映画館も、市場の脇道から出たらでてくるんだけどね。
天井もぐんと低くなるところがあったり。この閉塞感も味だ。
お店ごとの看板も味があって素敵。
旦過市場といえばサバのぬか炊き。小倉の郷土料理だ。学生時代、神社のバイトをしたときに宮司さんからご馳走してもらったことがある。「変なサバの味噌煮だなぁ」と思って食べていたら「小倉の人間じゃないのに、よく食べれるね」と感心された思い出がある。あれ以来食べてない。
ここは同期のグルメD.C.の人がおすすめしてくれたことのある精肉店だ。学生のとき、ちょっと贅沢したいときにここでお肉を買ってスキヤキとかしたもんだ。贅沢したといっても、リーズナブルな庶民の味方だった。
旦過市場を見てもわかるように、古いものを大切にしていく・・・そういう温故知新の気風が北九州にはある。
クジラ肉の専門店もあったりして。
この旦過市場が無くなってしまったら、北九州が北九州じゃなくなってしまうような・・・。
これが未練というものだろうか。ノスタルジーがまた一層、切なさを誘う。
それでは、ばいちゃ☆