俺はタクランケ!(歯学院生の日常)

ハロー、ハロー聞こえますか?
こちら太陽系第三惑星地球・・・。
あなたの世界とちょっとよく似たこっちの世界。
そっちがこっちで、こっちがそっちのパラレルワールド。
平行と交錯、現実と虚構。
ここは、それらの混沌から滴り落ちた、雨粒のようなブログ。
そちらの地球のお天気はいかがですか?

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2017.06.23 Friday

将棋の時間

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     放課後、廊下を歩いていると「先生!」と学生さんに声をかけられた。

     その学生の名は寺田くん。私が担当している実習班の学生さんの一人だ。「ちょうど将棋盤持ってるんで、将棋しましょ」。あまりにも予想外のお誘いに「将棋なんて何年ぶりだろう」と満更でもなかった私は、その足でラウンジに向かい、寺田くんと対局することとなった。

     

     

     

    将棋の時間

    第1回副病院長杯チキチキ将棋トーナメント

     

    看護師「将棋ファンの皆様こんにちは」

    看護師「本日は解説に副病院長をお招きしています」

    副病院長「こんにちは」

    看護師「今日の対局は雪大歯学部学生の寺田初段と雪大1補綴の如月二段です。」

    副病院長「楽しみですね」

    看護師「それではお二人にインタビューをしました。それでは、先手の如月二段から。」

     

    看護師「寺田初段にはどのような印象ですか?」

    如月「寺田くん?強いよね。序盤、中盤、終盤、隙が無いと思うよ。だけど、オイラ負けないよ。」

    看護師「本局への意気込みをお願いします。」

    如月「えー駒たっ・・・駒たちが躍動するオイラの将棋を皆さんに見せたいね。」

     

    看護師「それでは、寺田初段にも聴いてみましょう。」

    寺田「先生、早く指しましょうよ!」

     

     かくして、宿命の一戦がここに幕を切って落とされたのだった!

     棋譜読みあげは、その場に居合わせた同じく歯学部学生のつばきちゃん。

     

     それにしても、私は将棋なんて本当に久しぶりだった。小学生の頃は毎晩、父親と対局してボロ負けしていたっけ。小学生の将棋大会にもエントリーしたことがあったな。そのときにもらった参加賞の「歩」のキーホルダーは部屋の明かりのヒモの先にいまだに括り付けられている。その大会も一回戦負けだった。

     その時も今も、私は「棒銀」しかできなかった。しかし、その唯一取ることのできる戦法である棒銀も、あまりにも久しぶりの将棋だったためか、どんどんと指し間違えていった。

     私はあっという間に、飛車角を奪い取られ、私の駒たちは寺田の手元に落ちて行った。

     私は苦しい戦いを迫られた。

     一局目はあまりにもあっという間に負けてしまったので、即座に二局目を申し込んだ。まさに「下手の考え休むに等し」の状態で、圧倒的弱さを寝不足のせいにしてみたりした。

     こうして将棋を指していると、私が担当している実習班の学生たちが集まって来たり。「先生、これ押されすぎじゃないですか?」という的確な指摘に、私は無言を貫くことしかできなかった。

     私は勇猛果敢に、正々堂々と、寺田くんに頭を下げて「マイリマシタ」と言った。投了。

     

     そのタイミングで、たまたまラウンジの売店に来ていた1補綴の先生が通りがかって「こら、如月、何遊んでるんだ!」と怒られてしまったところで、本日の対局は終了。学生たちはそれぞれの部活やバイトなどの用事に、私は技工室へと、三々五々に散って解散。

     

     我ながら、絵にかいたような休憩時間だった。

     

     

     

    将棋の時間 

     

      糸冬 
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    制作・著作 KBC


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