俺はタクランケ!(歯学院生の日常)

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2017.10.23 Monday

患者さんとの接し方(「院内ルールと医師のマナー」を読み返して)

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     学生時代、修羅大において私たちが最も時間を割いて教育されたのが医療コミュニケーションだったと思う。

     それの是非はさておき、学内外から色んな先生が来て、コミュニケーションについて様々な講義や演習を受けてきたわけだが、その中である著書を教科書としていた講義があった。

     

     先日、患者さんとの接し方に自分なりに思う所があって、その教科書をふと思い立って読み返してみた。

     その教科書とは「院内ルールと医師のマナー」。この夏、逝去された日野原重明先生が監修されている。あくまで日野原先生は監修で、特に原稿などは掲載されていなかった。前書きくらいはあったかもしれないけれど。

     手に取ってみると、学生時代の思い出がよみがえってきた。

     

     これを教科書として使っていた講義では、先生が毎週、この本のどこかしらを90分間音読するという、これまたある意味大学らしい講義だった思い出がある。本のお値段は約2000円ほど。専門書が一冊数万円してしまうのが当たり前となった歯科医師になった今では、まぁ、2000円程度か・・・と思うのだが、学生にとってこの値段は結構破格で「高すぎる!」と思った記憶がある。

     しかも、本そのものが医科の学生やドクターを対象としているもので、ほとんどが入院患者との接し方などをテーマとしていたこともあって、歯科の分野にいる身としては、いまいちピンとこない内容だった覚えがある。

     

     この講義は試験ではなく、レポート提出で単位がおりるものだった。私は「再レポートだって辞さない!」となぜか鼻息を荒くして「どうしてこんな高い本を買わせるんだ!全然、歯科の俺たちには生かせる部分がないじゃないか!しかも、その本を毎週毎週、延々と朗読するだけって、どういうつもりだ!!」という内容のことを硬い言葉に置き換えて、レポートとして提出した。

     今思えば、なんて生意気な学生だったのだろう・・・とぞっとするが、どういうわけか、レポートは一発合格。単位がおりたどころか、しっかりと「優」だった。

     先生は私のレポートを見て「この学生は気骨がある。いやぁ、なかなか見どころがある。面白い!」とでも思ってくださったのだろうか。もしかすると、ははん、さては先生、レポート見てなかったな。まぁ、良い。卒業してしまった今となっては良い思い出である。

     

     さて、そんな思い出の本を改めて読んでみると、確かにそのほとんどの部分が医科のさらに入院患者を相手取るドクターに向けて書かれているものばかりだったのだが、こうやって落ち着いてみてみると、「なるほど」と思うような項目もいくつかあった。私が少し悩んでいた部分に対する、答えとまではいかないけれども、参考になるようなページもあった。そうなると、ますます、あの先生には申し訳ない気持ちになったりするのだが、まぁ、それは一旦置いておこう。

     

     私が「参考になる」と思ったのは「患者に接する態度」の項の「やっかいな患者さん」というテーマだった。この「やっかいな患者さん」はその1からその3の三つに分けられて書かれていた。その三つの項目は以下の通りである。

     

     その1 わがままな人

     その2 攻撃的な人

     その3 医師を誘惑する人(本記事では割愛)

     

     まず「やっかいな患者さん その1 ―わがままな人」を読んだ。

     ここでは「わがままな患者さん」を「要求の多い人、指示を守らない人、まわりの患者さんの迷惑を顧みない人、要するに自分勝手な行動の目立つ人である。」と説明して「手を焼くことが多い。」としている。「ついカッとしてきつくたしなめると、それが逆効果になってしまう。」とあった。

     これに対して「患者さんがなぜわがままを言うのか、それぞれの理由を探る」としながらも「わがまま行為への対処法をあらかじめ決めておくとよい」と書いてあった。これがなかなか具体的で、わがままへの対処を「1.見逃せる 2.看護婦が注意する 3.担当医が注意する 4.上部医師が注意する 5.退院勧告」の5段階にわけて目安をつけておくとよいとのこと。

     スタッフが「個々ばらばらに言う」のではなくて、「共同戦線を張るのが効果的」なのだとか。

     さらには「それが治療内容にかかわり、治療効果を妨げるようなわがままに対しては、医師は、結果がどうなるかをわかりやすく説明し、毅然とした態度で臨む必要がある。」とも書いてあった。

     これは義歯やブラッシングなどの指導においても通じてくることだと思った。特に、義歯に関しての患者さんとのコミュニケーションは日々難しさを痛感している。この本を読んで「なるほど、カッとせずに毅然とした態度か」と、ちょっと反省した。

     この項の結びが非常に医科らしく「どうしても手に負えないときには、境界型人格障害をも疑い、精神科医に相談する。」とあった。

     

     次に「その2 攻撃的な人」。ここでは以下に、要点の箇条書きをそのまま引用しておきたい。

    ・いついかなるときも喧嘩腰にならない。

    ・どんな批判・非難も冷静に受け止める度量を持つ。

    ・こちらに何か非があれば率直に陳謝する。

    ・攻撃は「構ってほしい」という愛情表現かも知れない。

    ・たまたま代理攻撃の矢面に立たされることもある

     この箇条書きは、どれも「なるほど」と思わされる。わかってはいたつもりだ。ただ、実際に臨床現場に繰り出して、それなりに色々な患者さんと接する中で、わずかばかりの経験を積み重ねてみると、より一層「なるほど」と思わされるのである。

     喧嘩腰とまではいかないけれども、攻撃的な人にはついついムッとしてしまったりする。私なんかはすぐに表情や態度に出てしまうので、自分でもいつも「よくないなぁ」と思っているのだけれど、なかなか難しい。そういう意味では「度量」が足りていないのかもしれない。しかし、その態度が「一種の愛情表現」かもしれないという項目は、ハッとさせられた。

     

     「患者の自己主張として攻撃的にならざるを得ない状況であることを理解しなければならない。また、過去に医療事故に逢い、すっかり医療不信に陥っている気の毒な患者さんもいる。」

     「一方、病院側にこれといった心当たりのないときは、患者側にその原因を探すことになるが、医師に対する攻撃が、患者の仕掛けるテスト(相手を信頼できるか否か、最後まで自分を見捨てないか)であったり、一種の愛情表現(「もっと構ってほしい」)であったりすることもある。また別人に対する怒りや、一般的な医療批判に対する代理攻撃であることもある。」

     

     なるほど、患者がどうして攻撃的な態度になっているのか、背景をくみ取らなければいけないということか。歯科の現場でも、この文章を読んで思い当たるシチュエーションが多々あるように思える。

     

     それに対して「それらの攻撃的な患者さんに対して、医師がこちらもガードを固め、反射的に攻撃的になってはならない。まずは相手をそのまま受け入れて、その言い訳をじっくり聞く、話の途中ですぐに反論したり釈明したりせずに、最後まで黙って聞くことが肝要である。言いたいだけ言えば気持ちも落ちついて、その不平不満も、十の要求が五になり三になったりするものである。」としている。

     

     歯科のさらに義歯といった補綴の分野においては、義歯の使用感に医師と患者の信頼関係がひとつの大きな要素として重要視されている。バウチャーの教科書にもラポール形成の重要性を説く項目が加えられているらしい。信頼関係をしっかりと築いていくためにも、この項目は非常に大切なことが書いてあると思う。冒頭にて医科向けの本だろうが!と語気を荒げていたが、いやはや、非常に勉強になった。

     

     

     

     また別のページでは「職場のマナー まずは挨拶」という項目もあって「挨拶の効果は絶大。おろそかにできない」として「目上・目下にこだわらず誰にでもひと声掛ける」とも書いてあった。「挨拶は分け隔てなく公平に、気軽に、相手の目を見て」「はにかみ・面倒くささ・権威意識をきっぱり縁を切る」「挨拶は先手必勝。機先を制するつもりになって」。なるほど、雪大の学生さんにも是非とも読ませたい・・・と思ったとき、私ははっとした。

     

     だから、大学は私たちが学生のときにこの本を購入させたのか。「拒絶感を示さず」に「話を最後まで聞」けばよかった。文句ばかり言わずに「受け止める度量をつける」ことが必要だったのだ。すべて、この本に書いてある通りだ。

     

     

     

     私は改めて、心の中で学生時代の非礼を詫びた。4年越しのアイムソーリー。

     

     

     

     この本を改めて読んで、得たことを、明日から少しでもいいから臨床に生かしていければ・・・と思う。

     

     それでは、ばいちゃ☆

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